ヘルスケアにおけるチームワークを向上させるための5つの方法
コミュニケーションを可能にするデザインは、どのように医療施設における臨床医らのチームワークを向上させ、ひいては命を救うことにつながるのでしょうか。
2024年1月26日
3 minutes
コミュニケーションや継続的な学習、チームワークの促進を意識してデザインされたワークスペースで、看護師、医師、臨床チームの成功への道筋を作りましょう。スタッフ同士のつながりが強化されることは、命を救うことにつながります。
コミュニケーションはチームの成功に不可欠なものです。特に、臨床ケアチームにとっては、ちょっとした会話や単純な誤解が生死を分けることもあります。
これは誇張ではありません。医療過誤は予防可能な病院死の主な原因となっており、いくつかの調査から、「有害事象」の80%* が医療従事者間のコミュニケーションエラーに関連していることが明らかになっています。**
簡単に言えば、ミスを減らし、命を救うために、ケアチームのコミュニケーションを支援する必要があるのです。支援には以下の方法があります。
さまざまなセッティングを取り入れる
極秘の話し合いからチーム全体の最新情報、何気ない会話まで、看護師や医師、その他のチームメンバーはシフト中にさまざまな方法で重要な情報を伝達します。やり取りの内容にかかわらず、ケアチーム全体の環境にさまざまなセッティングを含めることでコミュニケーションのスタイルに多様性が生まれ、スタッフの満足度が31.8%向上します。***
会話の透明性を高める
臨床医らに、チーム全体の環境における視覚的、聴覚的なアクセスを与えましょう。つまり、見たり、
聞いたりできる環境を提供するのです。お互いの声が聞こえるだけでも良いでしょう。そのような環境を作ることで、臨床医らが重要なコミュニケーションに参加できるようになります。
コミュニケーションには、間違いを正すための介入や問題を解決するための援助が含まれます。
視覚的、聴覚的なアクセスのあるケアチームでは、以下のような行動が取られる可能性が高まります。
同僚にサポートを提供する。
会話することで非公式にナレッジを共有する。
フィードバックを提供する。
チームメイトを信頼する。
偶然の出会いを促す
重要なコミュニケーションは会議の中だけで行なわれるわけではありません。看護師や医師は、廊下でチームメイトとすれ違うときに、患者の重要な最新情報や新しい検査結果などの非常に価値のあるやり取りが行なわれることがあると話すでしょう。
実際、スタッフ間で交わされるすべてのやり取りのうち、56%は予期していないものであるという驚くべき調査結果があります。**** 廊下やその他の共有スペースは、このような予期しない何気ない会話のための空間を確保するデザインでなければなりません。
人を中心として考えたワークスペースを計画する
ケアチームが適切だと感じるスペースを作り出すのは簡単ではありませんが、スタッフ同士が比較的近くに配置される、人を中心として考えられた環境では以下のようなメリットが考えられます。
効率の向上。
予期しない会話からの非公式な学習機会の増加。
時間を無駄にしているという感覚の低減。
ニュートラルゾーンを作る
閉ざされた個人オフィスの時代は急速に終わりを迎えつつあります。そしてそれには、納得できる理由があります。異なる分野の人々が肩を並べて働くことで職場全体のコミュニケーションが向上し、チームの結束力が高まります。また、グループや機能間にある階層を打破し、部門を越えたエンゲージメントとナレッジの共有にも役立ちます。
同じ空間でともに働く看護師、医師、専門家は、意見の共有、そして、命を救うことにつながる可能性のある会話を始めることができます。
出典
*Makary, Martin A.、Daniel, Michael『Medical Error-the Third Leading Cause of Death in the US (医療ミス - 米国における第 3 位の死因)』BMJ 2016;353:i2139
**米国医療施設認定合同機構『Human Factors Analysis in Patient Safety Systems (患者安全システムにおける人的要因の分析)』The Source、第 13 巻、2015 年 4 月
***Leesman『The World's Best Workplaces 2018 (2018年世界最高の職場)』第 2 版、2019 年 5 月
****Mejla, D.、Favela, J.、Moran, A.『Understanding and Supporting Lightweight Communication in Hospital Work (病院業務における軽量コミュニケーションの理解とサポート)』IEEE Transactions on Information Technology in Biomedicine 14 (1)、140-146、2009 年 https://dx.doi.org/10.1109/titb.2009.2033384
3つのポイントのまとめ
スタッフ間のやり取りを促すようにデザインされたワークスペースは、医療施設全体にわたる命を救うためのコミュニケーションの強化に寄与します。
さまざまなセッティングによって、チーム全体の最新情報から何気ない会話まであらゆる形の、スタッフ間に必要なやり取りのための場所が生まれます。
共有スペースは偶然の出会いや何気ない会話を可能にし、臨床医らが間違いを正したり、問題を解決したりするために非常に重要となります。