プロジェクトのプロフィール:BlackRock
資産運用会社がニューヨーク本社の最前線に柔軟性を採り入れた方法
2024年3月28日
6 minutes
ミッドタウンのオフィスの賃貸契約が残り7年となったBlackRockは、ニューヨーク市に勤務する約4,000人の社員の職場を今後どのようにしていくかに関しての決断を迫られていました。当時、オフィスは3つの建物にまたがり、総フロア数は31に上っていました。会議の場所に行くだけで歩いて15分かかることもありました。
ニューヨークの社員の勤務場所を初めて一つ屋根の下に集約し、「社員がここで働きたいと思う場所」を実現するダイナミックな新本社の建設作業が始まりました。BlackRock は、マンハッタンのミッドタウン、ウエストサイドにあるハドソンヤードを選びました。ここは2016年にオープンした28エーカーの複合用途開発地で、企業、住宅、公共施設が入っています。
建築会社のNBBJ は、オープンなワークスペースの家具を扱うThe Switzer Group 、そして家具のパートナーとして参画したMillerKnollと共同でこのプロジェクトを指揮しました。
デザインの中心となる基本的な考え方は、空間が人に寄り添うことであり、その逆ではありません。
BlackRockの新しい体験
この投資会社の最新かつ極めて高い柔軟性を備えた本社は現在、15フロア(1フロア100万平方フィート弱)を占めています。
プロジェクトチームは、リース条件に基づいてニーズに応じたスペースを設計できました。最終的に次のようなオフィスが実現しました。
フロアあたり60~80,000平方フィートの広い面積。これにより、各フロアに350人を超えるチーム全体を収容できるようになりました。
高い天井と全面ウィンドウを活用した十分な採光。
「建物の中の建物」というコンセプトの構築。BlackRockによると、それが結果として「自社でコントロールできる範囲内の並外れた回復力」につながっています。
床下に空気が通る高床構造。進化するビジネスニーズに合わせて、スペースの再構成を容易にする配電とデータ配信が可能になっています。
LEED プラチナ認証を取得したエネルギー効率の高い施設。
本社には、クライアント向け会議室、講堂、屋外テラス付きの学習交流室、授乳室、社員用シャワー、カフェテリアが設置されています。便利なことに、隣には医療センターのMount Sinai Health Systemがあります。
柔軟性によるレジリエンス
チームは、時間の経過とともに変化するニーズに適応できる職場を構築することに、プロジェクト全体の目標を定めました。BlackRockは、4,000台のワークステーション、315か所のプライベートオフィス、カスタマイズされたデータおよび電力ソリューションを通じて、次の4つの重要な目標を達成しました。
従業員の幸福と健康を保証する家具。
スペースに高い順応性を与えるテクノロジー。
ラボレーションスペースでのつながり。
The Switzer Groupのプリンシパルであるサラ・キプファー氏は、「素晴らしいのは、スペースのモジュール化が長期的にどのように機能するかについて、BlackRockが優れたビジョンを持っていたことです」と述べています。
スペースは高床構造で、床下に空気、電力、データの通り道が確保されており、再構成も容易です。BlackRockプロジェクトチームはエンジニアとの協力の下で、構造に縛られない柔軟なソリューションを設計しました。
家具を再構成可能にしたことで、時間が経ってもワークスタイルをシームレスに調整できるようになっています。ハーマンミラーのキャンバスチャネルこれは、高床の下を通る電力とデータに直感的にアクセスできる、合理的な自立構造であり、中心となる「コア」の役割を果たしました。このコアにおいて、MillerKnollカスタムソリューションチームがBlackRockと協力して、BlackRockの広範なデータ要件をサポートする統合システムを開発しました。ハーマンミラーのリニュー シットトゥスタンドテーブルは、独自のカーブの付いたプライバシースクリーンを備えており、キャンバスチャネルに簡単に接続でき、仕事の中断を最小限に抑えつつ簡単に移動できます。
BlackRockのマネージングディレクター、フィリップ・ピトルッツェロ氏はMillerKnollとの共同作業について、「大規模なプロジェクトを進めて行くと、必ず予期せぬ事態が起こるものです。問題に直面したときに共に対処でき、革新を起こせるような技術力と顧客サービスに優れた強力なパートナーを求めていました」と語りました。「私たちの目標は、現在そして将来に向けて、極めて柔軟でテクノロジー中心のワークプレイスを構築することでした」
フロアの一部はオープンシートで、部門によって割り当てられているものありますが、スペース全体がユニバーサルなワークステーションとなっています。つまり、トレーダーなどの特殊な役割を持つ社員でも、環境を大幅に変更することなく席を移動できます。
さらに、キャンバスとリニューシットトゥスタンドテーブルを備えたMillerKnollのコレクションでは、2つの異なるサイズのプライベートオフィスに同じ部品キットが使用されているため、個人の好みのワークスタイルに合わせてスペースを簡単に調整できます。
「変更が必要になった場合でも、生じる影響とコスト、部門への影響を最小限に抑えることができます」と、BlackRockの新オフィスプロジェクトディレクターを務めるマイケル・フレッチャー氏は話しています。「週末にデスクを入れ替えたりといった、新しいスペースをビジネス要件に適応させるために必要なことは何でもできます」
健康を重視する
いたるところに設置したシットトゥスタンドデスクに社員が座り、1日を通して働く際の姿勢を変えることで、人間工学に基づいた健康上のメリットをもたらします。また、このデスクは、取引やデータ監視に必要な大型スクリーンを目の高さまで上げることができるため、首の負担を軽減できます。
「ある社員からは、シットトゥスタンドデスクのおかげで、慢性的な腰痛から解放され、ニューヨークシティマラソンを走ることができたというフィードバックが寄せられました」と、BlackRockの衛生および安全グローバル責任者、アシュリー・マポウ氏は言います。
一方で、床から天井までの一面に設置された窓により、十分な自然光を採り入れることができます。調整可能なペンダント照明、ホワイトノイズ、柱のないデザイン、個別の温度制御などすべてが、社員の体験に快適さをもたらします。
「ハドソンヤードは、ハドソンリバーパーク、ハイライン、ハドソンヤードパークなどの多くの緑道や公園とつながっているダイナミックなコミュニティです」と、NBBJのプリンシパルであるスザンヌ・カールソン氏は話しています。「デザインに影響を与えたことがあります。それは、自然を意識し、健康とのつながりを持つことと、幸福感を その建物にいることで得られるようにすることです」
目的に沿ったデザイン
BlackRockのコアバリューの1つが、「We Are One BlackRock」です。これは、彼らが「クライアント、BlackRock、およびBlackRockが事業を展開するコミュニティにとって最高の結果を生み出すために、縦割り組織や縄張りを持たずに働く」ことを意味します。
新しい本社はこの原則を重視しており、プライベートオフィスが占める割合は全体のわずか7%です。大部分がオープンシートの環境で作業することで、コンスタントなつながりが、計画的であれ偶然的であれ、促進されます。
オフィスの数が減り、デスクの共有が増える中、BlackRockは共同作業エリア、プライベートスペース、電話室を追加して、社員が新しいモデルに適応できるようにし、かつOne BlackRockの考え方を強固なものにしました。
BlackRockは、社員のための豊かな文化と、世界中の多様な顧客のためのポジティブな経験を生み出すためには、さまざまなスキルと視点が不可欠であると信じています。この精神に基づいて選んだのが、AlianzaDuffyです。Minority Business Enterprise(MBE)に認定されているMillerKnollディーラーでもあり、Creative Office Resourcesと協力関係にある会社です。.
プロセス全体を通じて持続可能性も最優先に考えられました。このスペースは、ニューヨーク市の一般的なLEED認証を受けている建物よりも1平方フィート当たりのエネルギー使用量が50%少なく、LEEDプラチナ認証も取得しています。
カールソン氏は、「このスペースは間違いなく、設計の目的を達成しています」と述べ、「協力、支援、機能のある環境に社員を受け入れることができました」と語っています。
3つのポイントのまとめ
資産運用会社のBlackRockはニューヨークで働く約4,000人の社員を初めて1つのオフィスに集約し、変化できるグローバル本社を設立しました。
MillerKnollは自由なワークステーションとパーツキットのプライベートオフィスで、スペースにではなく人に合わせる設計目標の実現を支援しました。
このスペースは、従業員の健康をサポートする家具、つながりを生み出す共同スペース、順応性の高いテクノロジーを備えた非常に柔軟な環境が特徴です。
使用製品
BlackRock本社のデザインの基礎となった製品をご覧ください。
ハーマンミラーのキャンバスチャネル
この合理化された自立構造により、電源やデータへの直感的なアクセスが可能になります。
ハーマンミラーのリニュー シットトゥスタンドテーブル
これらのスタンディングデスクは、人々がアクティブでいられ、健康を維持できるよう、あらゆる動きをサポートします。
ハーマンミラーのイームズテーブル
安定性に着目する建築家の視点と、フォルムに対するアーティストの美意識により生まれたイームズテーブルのデザインは、汎用性、強度、美しさが融合しています。
ハーマンミラーのキャンバスプライベートオフィス
キャンバスプライベートオフィスは、あらゆる人や職場文化に合わせて柔軟に対応できる、包括的で囲まれたスペースを作り出します。
Geigerによるラウンジシーティングのリフレーム
リフレームは、コラボレーションをサポートするカジュアルな環境に、快適さと他にない美しさをもたらします。
Knollのサーリネンエグゼクティブチェア
この時代を超越した実用性に富んだデザインは、仕事、会議、ラウンジダイニングといった用途にシームレスにフィットします。